180627 Okotoks 375km

命の恩人


キルギス、タジキスタン国境で出会ったライダーと再会。

越えられた国境




 朝一番で、グレイシャー国立公園へ。公園を横断する道路が走りたくて、早起きしました。その名も、「Going To The Sun Road」。雪景色のロッキーを左右に見ながらコーナーを曲がるたびに歓声をあげる2人。最後まで圧巻のアメリカでした。

 カナダへ入るため、車が少ないであろう国境、Chief mountainへ。アラスカへ行った後、チャンスがあればカナダで働きながら越冬しようと計画していた私たち。ワーキングホリデービザの取得許可証を準備していたので、国境で見せて手続きすることにしました。担当したのは190cmくらいの大柄な女性。陽の当たらない暗い部屋で1人パソコンを操作していた彼女が、面倒くさそうに出てきました。ビザ許可証明を見せて、手続きしてほしい旨を話すと、最初に言われたのは、「働きたいのになんで英語ができないんだ。」カナダの株価が、音を立てて暴落していきます。考えが甘いと言われればそれまでですが、一年以上旅して来て初めて言われた言葉でした。その後も早口でまくしたてられます。何をして働きたいんだ、今いくら持っているんだ、そもそもなんで働きたいんだ…。事前に調べていた内容では、具体的な労働場所は入ってから探すと言えば大丈夫で、入国審査で実際の所持金を調べられたり、銀行残高の証明提示を要求されたり等はないということだったので、行けばビザがもらえるだろうと考えていました。そもそも、ビザを申請する段階で煩雑な手続きを行い、250カナダドル支払い、審査機関から許可されているのです。旅行に出る前に教員をしていたと話すと、それがカナダの学校で働きたいに変わってしまい、保険がない、学校の敷地へ入るための健康状況を証明するものがない等々の理由をあげられ、挙げ句の果てに私のワーホリビザを失効させてしまいました。一度話したこと(係官が理解した内容)を訂正しようとしても、血走った目を見開いて聞く耳持たずで、カナダへ入りたいならもう一度ビザをとり直せとのこと。一度働きたい意思を示すと、もう単なる旅行者にはなれないという理論なのです。システムに登録したから、もう旅行者ではカナダへ入国できない、どこの国境も通れないとの一点張り。アラスカへ行きたいなら飛行機で飛べ…。必死に抗議する私達の側に、別の男性係官がやってきました。静かに話を聞く男性係官。何とかしてくれるのではという期待をもって、抗議を続けました。そして男性係官が大声で放った言葉は、「Go to jeil or back to USA」。何を言ってももう無駄です。ビザを取り上げられ、アメリカへ帰ることになりました。
 アメリカ国境の係官から出た言葉は「What’s happen?」さっきまでの経緯を話すと、苦笑しながら信じられない、かわいそうに。と言われました。巨漢女係官は有名なのかもしれません。
 ビザを取り直すなら2、3週間はアメリカにいなければいけないし、またお金がなくなってしまいます。もはやカナダで働きたいとは微塵も思わないのに。ダメ元で隣町のメイン国境に向かいました。
 隣の国境でパスポートを見せると、私だけ番号が書いた紙が一緒に渡されました。別の係官に見せ、しばらく待合室で待つようにと言われます。パソコンを打ち、電話している様子が伝わります。さっきの女係官が早口でそいつらを入れるなと、電話越しに話している姿をいやでも想像してしまいます。どきどきしながら待っていると、さっきの係官が入ってきました。少し険しい表情に変わって…。緊張しながら別の部屋へ移動します。椅子に座ってきちんと向かい合い、Chiefでのことを話しました。アラスカへ行った後、チャンスがあればカナダで英語を勉強したかっただけなんだということ、カナダで働かなくても旅の資金はあるということ、さっきの国境では話をきいてくれなかったことなどなど。私たちの話を聞いてくれる係官。一語一語ていねいに話してくれる係官。話しているうちに涙が溢れてしまいました。「Im very happy because you listen for us...」声にならない涙声で伝えます。このブログを書いているのはこの日の翌日ですが、今でも思い出すと涙が出てきます。係官も涙目になり、少し待っててと席を立ち、両手にパスポートを持って帰ってきました。机の上に広げられたのはスタンプが押されたページ。「ようこそ、カナダへ。今後、今日のようなひどいことは決して起こらない。私はあなた達を入国させることができて満足だ。これからもいい旅を続けてくれ。」2人とも号泣です。今日ほど国境越えが辛く、嬉しく、人の情のありがたみを感じたことはありません。あなたのことは忘れません、Gregsonさん。

 国境を越えて、カルガリー方面へ。ペルーで会ったロビンさん、タマラさん夫妻が招待してくれているのです。国境での経緯を話すと、同情してくれ、抗議しようとしてくれました。そんなことは聞いたことがない、と。一度失効させられたビザはもう元には戻せません。物価の高いカナダで働けたところで、生活費でマイナスになることは目に見えています。働かずに旅を続けろと神様が言っているのでしょう。それならば、心置きなく遊ばせてもらいます。ビザを取り上げてくれてありがとうございます、Chiefの人達。

 カナダへワーホリで来るみなさん、バンクーバーへ飛行機で飛んで来るか、陸路なら主要国境を越えてきてください。小さな国境は何が起こるかわかりません。

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コメント

  1. 読んでいて悔しくも有り悲しくも有り感謝の気持ちも有りで
    複雑ですがめげない二人のスピリットを頼もしく感じています。

    温々とした環境でお二人の旅の様子を毎日毎日楽しく
    拝読させて頂いてる身には何も手伝うことが申し訳なく思います。

    これからも元気で残りの旅を続けて行かれることを祈ります。

              寒いところの温々とした所で。鎌田吾郎

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    返信
    1. ありがとうございます。何事もいいように考えれば楽しくなりますから。ただそれだけです。旅のおかげで自分に都合よく考えるプロになりました。温かいお言葉をいただけただけで、私たちは元気100倍です。吾郎さんのお家はいつもおいしい食材が並んでいて羨ましいです。青森に行ったら突撃訪問させていただきます!

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